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玉ねぎの皮の太陽熱染め布

玉ねぎの皮の太陽熱染め布

わたしは毎月染めものをしています。
いつもは自宅で花や葉を煮て染液を作っていますが
現在旅の途中で、少し長い滞在になるので初めて旅先での染めに挑戦しました。

まずは染め液を作ります。
準備しておいた玉ねぎの皮を小さいバケツへ入れて、そこに水を並々注いで袋でふたをします。それを日向に2日ほど置いたままにしておくと、太陽の熱で濃い紅茶のような綺麗な色が抽出されました。
とてもいい予感がします。

さて、どんなふうに染めましょうか。
暑い暑い夏の太陽からもらった染め液ですので、絞り染めで丸い輪郭をだしてみましょうかね。ぬらしておいた布を輪ゴムでいくつかしばり、そっと染液へ入れます。布はすぐ浮いてきてしまうので玉ねぎの皮を布に覆いかぶさるようにして残しました。
このまままたバケツを日向に2日間置いたままにしておきます。

絞りを解く- 絞り染めをして一番楽しい時間です。
外側から1つずつ輪ゴムを外して布を広げると、射的の的のような模様が現れました。思ったよりも布に濃く色が入っています。普段はこの後色止めとしてみょうばん液に浸し仕上げるのですが、ここにはないんですよね。
あ、色止め効果があるのかはわかりませんが、一度試してみたかったことがあります。しかもこの土地だからこそ簡単に出来ること。子供の頃に見た川に反物がゆらゆらと流れている美しい光景が今でも頭に残っていて、いつか同じことを出来たらいいなと思っていました。

喜び勇んで向かったのは、浜辺です。
早速橙色に染めた布をかばんから出して海へと走ります。小さい布が海面を泳ぐ一瞬一瞬を何度も切り取って頭や写真機におさめます。とても波が高くて布をすぐに沖の方へ連れてってしまい、わたしの足元も波が寄せて返すと砂をざぁっと持っていき立っていた場所が小さくなります。自然の力です。布が小さかったため頭に描いたような絵は再現困難でしたが、染め布を海で洗うという夢が叶いました。

過程にすっかり満足してしまい結果を忘れそうになりました。海を泳いだ玉ねぎの皮染めの布はどうなったのでしょう。
笑う準備はいいですか?
率直に言って染め色が薄くなりました。
はい、海水の効果は漂白!海晒しといって昔から存在するようです。
旅の指南書は家へ戻ってから読むんですよね。

わたしの旅はまだまだ続きます。